嗅覚とアロマテラピー〜江川耳鼻咽頭科 江川雅彦先生〜
アロマドクター 江川耳鼻咽喉科院長(鹿児島市)
NARD JAPAN認定アロマ・アドバイザー 江川雅彦先生 による
第12回 NARD JAPANケモタイプ・アロマテラピー九州勉強会
「嗅覚とアロマテラピー」に参加してまいりました。
アロマドクター 江川雅彦先生の病院でのアロマの活用からお話くださいました。
先生の病院待合室では茶香炉や精油も炊いているのはもちろん、お手洗いなどでも活躍しているそうです。
嗅覚とはすぐに生死に関連しないため、耳鼻科でもあまり主流として治療を行う分野ではないそうですが、先生はないがしろにできない、とても大切な感覚器官であるということで。
アレルギー性鼻炎とアロマテラピーはライフワークとして取り組まれているそうです。
アロマテラピーでの治療対象者
妊婦・授乳婦、多種薬剤内服患者(元気な人は普通の内服をしている)
超音波ネブライザーにティーツリー精油を主に入れられて妊婦さんなどへのアレルギー性鼻炎や副鼻腔炎にはお使いになることが多いそうです。(ネブライザーへの精油使用はメーカー保証は受けられないそうですので、される際は自己責任となります。やはり早めに壊れるそうです。)
精製水20ml+ティツリー0.05ml(セラピー用)
他には
・嗅覚の伝導路とは
・香りの正しい嗅ぎ方とは
・健康な嗅覚とは
・嗅覚障害の原因、検査治療(先生のHPにもご説明があります。)
・その治療について一般の治療から漢方薬での治療、
そして
「嗅覚刺激療法」についてもご報告くださいました。
・バラ、レモン、ユーカリ、クローブの精油をそれぞれ1日2回15分嗅ぐ
そして、日常のささいな香りを感じてみる、気にかけてみる
・ご飯の炊ける香り
・お味噌の香り
・海苔の香り
・醤油の香り
・パンやの香り
・バターの香り etc
このような香りは、普段当たり前に香ってくるものですが、嗅覚障害があると、香りが感じられません、香りの感じられない食事はどれだけ味気ないでしょうか・・・。
認知症と嗅覚障害のアロマテラピー
認知症とは:脳の疾患により生活に支障がある状態
アルツハイマー型認知症(大脳皮質に異常なタンパク質が沈着)し記憶が思い出せない、名前、言葉、徘徊、暴言、暴力、妄想、睡眠障害などと一緒に嗅覚障害も起こしやすいそうです。
認知症による嗅覚障害は、
「匂いはするけれど、何の匂いなのか分からない。」「何の匂いなのか思いだせない。」
では
どのような検査をするのでしょうか、香りを感じるか(検知)、そして何の匂いなのか分かるか(認知)という検査を行うそうです。
検知閾値(何か匂うと感じる濃度)と認知閾値(何の匂いだと分かる濃度)の数値で
当然、検知閾値が低いのですが2つの閾値が離れすぎていると認知症を疑う材料となるそうです。
認知症予防へのアロマテラピーの利用方法
サーカディアンリズムを取り入れた鳥取大学の取り組みもご紹介されました。
🌞9〜11時 ローズマリー4滴&レモン2滴
集中力を高め、記憶力を強化するリフレッシュ作用、交感神経を優位にさせます。
🌠19:30〜21:30 ラベンダー4滴&オレンジ2滴
心や身体を鎮静させる リラックス作用 副交感神経を優位にさせます。
他にも、抗うつ、不穏、不安、徘徊などへのアロマテラピーでの作用もご紹介くださいました。
嗅覚障害の治療は、鼻炎などで鼻腔の腫れなどで一時的に嗅覚障害の場合もありますが、なんらかの疾患により嗅覚障害になった場合も、普段の何気ない香りを意識するトレーニングを数ヶ月地道に続けることで効果が出ることが多いと教えてくださいました。
危険を感知してくれるためにとても重要な嗅覚ですが、おいしいお食事、おいしい飲み物も嗅覚障害のおりは美味しさも半減してしまいます。
QOL(クオリティオブライフ)生活の質は生きがいにもつながる大切な活力です。
香りを楽しみながら自然とともに暮らすことは、ここちよい香り(嗅覚)、気持ちの良い感触(触覚)、幸せな音(聴覚)、おいしいものを味わう(味覚)、そして美しいものを見る(視覚)、そんな五感の刺激で体全体か活性化するのではないかとお話を聞きながら感じました。